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プロスポーツ球団のMD事業の位置づけとは

2020.03.12

プロスポーツ球団におけるMD事業の位置づけとは

 

プロスポーツ球団の収入源は幅広い。

 

B2Bであれば、球場看板等の媒体販売、放映権販売、商品化権販売、試合・イベント協賛、年間指定席、VIPルーム、球場命名権販売、コンセッション契約保証料、テナント事務所家賃、貸館売上などがある。

 

B2Cであれば、チケット販売、球団グッズ販売、飲食売上に大別される。これらは本拠地スタジアム/アリーナ周辺で行われるビジネスに限定した分類だ。本拠地外であれば、ビジター/アウェイ地での自球団グッズ販売、プレイオフの賞金や参加奨励金、選手の譲渡契約金などもある。

 

 

MD(商品)ビジネスはB2C収入の主力級売上であることは間違いないが、プロスポーツ球団における地位はあまり高くないとのではないかと感じます。その理由は :

 

  1. 営業利益率が低い
  2. 在庫が必要となる
  3. コアファンのみを相手にしがち
  4. 顧客満足度に影響が出にくい

 

【営業利益率が低い】

商品原価に加えて、店舗スタッフ人件費や家賃、プロモーション費用などの販売管理費があり、閑散期には損益分岐点を超えないケースも考えられる。

 

【在庫が必要となる】

事業の多くに在庫という概念がない球団ビジネスにとって、在庫の存在は異質に感じられる。会計上は資産扱いだが、損益計算で在庫を原価に含んで考えてしまうマネージャーも存在する。

 

【コアファンのみを相手にしがち】

観戦に訪れる人はホームチームの熱狂的なファンのみではない。ビジター/アウェイのファンもいるだろうし、単に招待を受けただけの人も多数混ざっている。飲食は腹が空けば消費されるので、全入場者が顧客対象となる。一方で商品関係は、ホームチームのファンのみが商売の相手だ。潜在的な顧客の母数が他のビジネスに比べて少ないということで優先順位が下がりがちだ。

 

【顧客満足度に影響が出にくい】

覆面調査やアンケートでCSサーベイを行い、KPIとしている球団は多い。チケットや飲食の価格や座席のサイズなどはストレートにスコアにでるが、MDはあまり影響を受けない。商品はそこそこ、出しておけば一定の数値が得られて、頑張ってみたとしてもスコアが大きく上昇することもなく、かえって在庫が増えるだけという負のスパイラルも考えられる。

 

まとめ

プロスポーツ球団のMD事業は、他の事業に比べて優先順位が下がりがちである。明確にMD事業を収益の柱に据える球団は多くない。さらに、昨今では多くの部分を外部委託する球団も現れはじめた。その判断は尊重するが、『本当にそれで良かったのか』のかどうかは、今後の判断を待つしかなさそうだ。

 

Aki

 

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